2023年12月、田中衡機工業所の「自動台ひょう」がその歴史に幕を閉じました。
今回は、はかりのアイコン的存在として、田中衡機工業所を支えてきた自動台ひょうの歴史を振り返ります。

自動台ひょうとは、電気を使わない機械式台はかりの一種です。ばねを使用した構造で、針が直接目盛りを指し示して、計量値を表示します。

ばね式はかりの原形が発明されたのは、18世紀のイギリスでした。発明当初はばねが温度の影響を受けやすいことが課題でしたが、制温ばねが発明されたことによって、ばね式はかりが実用化されるようになりました。

田中衡機での製造が始まったのは、1920年頃のこと。

学校や銭湯、その他ボクサーの前日計量に用いられたりと活躍してきました。
1976年のアントニオ猪木 VS モハメドアリ戦でも、前日計量に用いられ、当時の新聞やテレビには田中衡機の自動台ひょうが映りました。

電気式はかりの登場以降も、様々な場所で愛され続けました。学校の保健室にこの体重計があったという方も多くいるのではないでしょうか?

今でも体重計と言われて真っ先に思いつく体重計のアイコン的存在です。
2020年には、銭湯シリーズとして、カプセルトイにもなりました。

しかし、デジタル化が進む現代、徐々に生産台数は減り、いつの間にか自動台ひょうの大量生産体制を持つのは、田中衡機工業所だけになっていました。求める人がいる限りと続けてきた、自動台ひょうの製造でしたが、必要な部品を調達することが困難になり、2023年12月、ついにその歴史に幕を閉じます。

長らく自動台ひょうを愛してくださり、ありがとうございました。
生産が終了しても、田中衡機が100年間製造し続けてきた多数の自動台ひょうたちは、まだまだ現役ではかり続けています。
社員一同、部品の在庫がある限り、自動台ひょうの活躍を支えていきます。